適切な材料を提案し、製品寿命を延ばし、
コストカットにも貢献しました。
コンプレッサーは自動車から産業用機械まで用途が幅広い装置です。
大同精密工業では、創業当時からピストンの上下運動によって流体を圧縮するレシプロコンプレッサーの弁の製造に携わっています。
当初の弁の製品寿命が課題でした。弁は運動量が多いため消耗が激しく、フル稼働で通常2000時間、長いものでも4000時間が限度で、およそ3ヶ月に1度の部品交換が必要でした。
そこで当社は材料に注目し、クロムを含むステンレス鋼を提案しました。クロムは素材の表面に薄い膜を作って錆を防ぎます。
この膜は非常に耐久性が高く、たとえ壊れても周囲の酸素があれば再生するという特性を持っています。
屋外環境にも耐えられる素材を用い、さらに激しい運動に耐えるために熱処理にて強度を高めました。
課題
- 弁の消耗が激しく、およそ三ヶ月に一回の部品後交換が必要
- 部品寿命を長くし、交換頻度を低減したい
研削加工によって平面精度を上げて製品寿命を倍に
弁に使用される薄板は流体の漏れを防ぐため、非常に高い平面度が求められます。熱処理を行うと素材に歪みが発生するため、その後の平面処理が不可欠です。
一貫生産体制が整った当社では、平面研削にも高い技術を有しています。厳しい平面精度を満たすだけでなく、硬度の高い材料でも研削加工できるため、ステンレス鋼を使用した耐久性の高い薄板を製造することが可能となりました。
現在では、製品寿命を8000時間まで延ばし、交換頻度が低くなったことでコスト削減にも繋がりました。
今後は薄板技術を発展させ、異業種にも展開していきたいと考えています。
機能
レシプロコンプレッサは、シリンダ内のピストンの往復運動によって空気をシリンダ内に吸込み、これを圧縮して吐出する圧縮機です。そのレシプロコンプレッサの生命とも言える吸入弁および吐出弁に使用されています。