FORMFLEX®カップリングとは
FORMFLEX®カップリングの特長
特徴1. 潤滑油不要
- 摺動・摩擦・転動部分がないため、潤滑油が不要です。
したがって、騒音・摩耗がなく、エネルギー損失が低く抑えられ、しかも清潔で油汚れがありません。
特徴2. 抜群なメンテナンス性
- 正しく取付けられ、また使用において初期状態が変わらなければ、長寿命を発揮します。メンテナンスは、運転休止時にフレキシブル・エレメントの目視検査およびボルト・ナットの締付け状態の確認をするだけですみます。
特徴3.軽量・高トルク
- FORMFLEX®カップリングは、運転条件によって幅広い選択の配意を有しています。
よりいっそうの軽量化をはかる場合には、本体材質をアルミ合金・スペーサーをコンポジット(CFRP)製などに変更することによって、重量軽減が可能です。
特徴4. 大きなミスアライメントの許容範囲
- ミスアライメントの許容範囲が広いため、さまざまなシステムに柔軟に適応します。
また特殊設計により、さらに大きなミスアライメントの許容が可能です。ミスアライメントの許容範囲はカップリングの型式によって異なりますので、ご使用条件に合わせてお選びください。
特徴5. 小さいスラスト荷重と曲げモーメント
- FORMFLEXカップリングの主な狙いは、トルク伝達をしながらシャフトのミスアライメントを吸収することです。
ミスアライメントの吸収は、シャフトに反力として負荷を与えます。反力は、運転条件によって変わりますが、他のカップリングと比較するとかなり小さく抑えられます。
特徴6. ノーバックラッシュ、ねじり剛さが大
- NC装置付工作機械、インデキシング装置、印刷機などの機械は、正確な軸の回転、位相制御が必要となりますが、FORMFLEXカップリングはノーバックラッシュ構造とねじり剛さが大きいため、この種の機械にも最適です。
特徴7. すぐれた耐環境性
- 無潤滑のため、標準材質でも高温雰囲気での運転が可能です。
さらに特殊な材料の使用やコーティングにより、より過酷な環境のもとでも運転が可能です。腐食環境等、ご使用条件によってはお問い合わせください。
特徴8. 強靭な構造、低い負荷応力
- FORMFLEX®カップリングの負荷応力値は、特殊な場合を除き、きわめて低いレベルに保たれています。したがって、正しく選定され許容ミスアライメント内であれば、長寿命を発揮します。
特徴9. 容易な着脱
- 部品点数が少く、小型でコンパクトなため、迅速で確実な取付け取はずしが可能です。
また、組立再現性がよいため、高速性にすぐれています。
スペーサーがあることにより、重量のある装置類の位置を動かさずに容易にカップリングの取り付け、取りはずしができます。これはポンプ等のシールや軸受の交換をするのにたいへん役立ちます。
特徴10. フェイルセーフ機構
- 過負荷や突発事故などにより、万一エレメントが破損しても、ワッシャーを介して回転を伝達するフェイルセーフ機構を持っています。フェイルセーフ機構による運転は応急処置のため、できるだけ早く正規の構造に復帰させてください。
FORMFLEX®カップリングの構造
長寿命を約束する単純構造
FORMFLEXカップリングの代表的な構造であるダブル・フレキシング・カップリングは、ハブ、スペーサー、フレキシブル・エレメントの3つの主要部品で構成されています。このきわめて単純な構造がFORMFLEX®カップリングの高トルクと長寿命を約束しています。
分解図
高トルクを生む伝達機構
FORMFLEX®カップリングの構造上のポイントは、薄い正方形のステンレス鋼板を積層したフレキシブル・エレメントにあります。下の図(中央)の穴AおよびCがハブに、B、Dがスペーサーにボルト締めされます。
トルクは、フレキシブル・エレメントの真っすぐな部分を通ってAからBに、またCからDに直線的な引張力として伝達されます。
このフレキシブル・エレメントには複合応力が発生しないので、FORMFLEX®カップリングのトルク伝達容量は大きくなります。
曲げ応力の発生が小さい駆動機構
最適な本数のリーマーボルトを配置することによって、ミスアライメントや軸方向変位が作用した時、フレキシブル・エレメントに生じる曲げ応力がきわめて小さくなります。もちろん、繰返し応力も小さくなります。
フレキシブル・エレメントの種類
性能 | 許容偏角……1° 許容トルク 33~6,370N・m |
許容偏角……0.5° 許容トルク 3,840~178,000Nm |
許容偏角……0.25° 許容トルク 16,400~313,000Nm |
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形状 |
【Aタイプ】
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【Gタイプ】
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【Uタイプ】
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性能 | 許容偏角……0.7° 許容トルク 569~128,000N・m |
許容偏角……0.35° 許容トルク 13,500~256,000N・m |
ボルト本数 10本~20本迄あります。 使用条件によりその都度決定しますので弊社にお問い合わせ下さい。 最大トルク 2,000kNm |
形状 |
【Eタイプ】
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【Sタイプ】
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【Wタイプ】
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性能
カップリングの許容軸方向変位量および許容平行偏芯量は、フレキシブル・エレメントの種類および使用回転数によって決定されます。軸方向変位量および平行偏芯量は二律背反であり、一方が増加すると他方は減少するため、同時に考慮する必要があります。
軸は様々な原因で芯ずれを起こします。熱的変化、軸受摩耗、基礎の変化等により、最初の芯出し状態から変わっていきます。一般に、最初の芯出しが注意深く行なわれているならば、カップリングの寿命は長くなります。逆に、最初の芯出しが十分に行なわれない場合、芯ずれを許容する余裕がなくなり、期待した運転寿命を保てなくなります。
平行偏芯は、2軸が平行であるにもかかわらず、それぞれの軸の仮想中心線が一致しない状態です。偏角は、2軸の中心線が交差する状態です。
軸方向変位は、2軸間の距離の移動によって生じる状態です。多くの芯ずれ状態は、これらの組合わせで発生しています。
FORMFLEXカップリングは電動機のエンドフロートに関して、軸方向変位量を制限する付属装置を使用せずにNEMA規格MG1-2003及びJEM規格 1146-1959を満足します(モーター起動時のスラスト方向変位に対して、付属装置を必要としません)。
製品の種類と使用方法
シングル・フレキシング・カップリング
4本ボルト | 6本ボルト | 8本ボルト | 10本ボルト | 12本ボルト | 10~20本ボルト |
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A3 | E3 | G3 | S3 | U3 | W3 |
シングル・フレキシング・カップリングは、3つの軸受に支持されている場合に使用します。図のカップリングは大きなラジアル荷重用に向いています。
NC工作機械等に使用されるサーボモーターとボールスクリューの結合には、例外として下図2の使い方が出来ます。
この場合、平行誤差は、モーターインローとケーシングのハメ合いにより、規制されますので偏角、軸方向変位の吸収が主目的となります。但しこの場合、エレメントに無理がかかる事がありますので、Form-Flexのような、角度エレメントで、やわらかくミスアライメントを吸収するタイプを使う必要があります。
ダブル・フレキシング・カップリング
4本ボルト | 6本ボルト | 8本ボルト | 10本ボルト | 12本ボルト | 10~20本ボルト |
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AX | |||||
A4 | E4 | G4 | S4 | U4 | W4 |
AB | EB | GB | SB | UB | WB |
カップリングによって連結される軸と軸が、いずれも2つの軸受に支持されている場合は、必ずダブル・フレキシング・カップリングでなければなりません。
支持されている軸受はカップリングのハブに対して、適切な距離内にあることが必要です。
フローティング・シャフト・カップリング
4本ボルト | 6本ボルト | 8本ボルト | 10本ボルト | 12本ボルト | 10~20本ボルト |
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A5 | E5 | G5 | S5 | U5 | W5 |
A6 | E6 | G6 | S6 | U6 | W6 |
大きく離れて相対する装置を連結するには、フローティング・シャフト・カップリングが使われます。
セミ・フローティング・シャフト・カップリング
4本ボルト | 6本ボルト | 8本ボルト | 10本ボルト | 12本ボルト | 10~20本ボルト |
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A7 | E7 | G7 | S7 | U7 | W7 |
参考的な使用方法が下の図です。この使用法では、軸は外端のスプロケットあるいはプーリー等にできるだけ近接して配置された単一の軸受のみで支持します。
フレキシブル・エレメントは、A3と同じくラジアル荷重を許容します。
ツイン・シャフト・カップリング
セミ・フローティング・シャフト・カップリングとフローティング・シャフト・カップリングを組合わせたツインシャフト・カップリングは装置間の長いスパンを連結するのに適しています。